境界線を守った瞬間~自分軸を取り戻したクライアントさんの体験談から

こんにちは!『変容のフェーズ診断Ⓡ』メイです。

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※今回も、「全部のケースを想定しないと納得できない人」用の記事ではないのでそのつもりでお読み頂けますと幸いです。

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今日は、クライアントさんの素晴らしい体験談をシェアしたいと思います。これは「境界線を守る」ということがどういうことなのかを、とてもリアルに教えてくれるエピソードです。

多くの優しい方が抱えている「理不尽な扱いを受けても、どう対応していいかわからない」「反撃(※ここでは相手に境界線を示す行動)したら自分も相手と同じレベルになってしまうのでは?」という悩み。この体験談は、そんなモヤモヤに対する一つの答えを示してくれています。

特に注目していただきたいのは、クライアントさんがその場で感じた「自分を誇らしく思う」という感覚です。罪悪感やモヤモヤではなく、純粋な誇り。これこそが、真の意味で自分を守れた証拠なんです。

では、実際にどんな状況だったのか、ご本人の了解をいただいたので、シェアさせていただきますね。

咳払いで「どけ」と言われた

クライアントのミカさん(仮名)が舞台を見に行ったときのことです。 薄暗いホール内で席を探して立ち止まっていたら、前にいた女性が「ん゙っん゙ーっ!」咳払いをして「通るから、どけ」と促してきました。

瞬間、驚きと違和感を覚えたミカさん。 昔の彼女なら、このような状況では「自分が通路で立ち止まっていたからこっちが悪いんだ。しょうがない・・・」と考え、口頭で「通ります」って言えばいいものを、咳払いで圧をかけられた不快さを抱え込んでいたそうです。

しかしその日は、ミカさんははっきりと「失礼だ」と感じました。 そして瞬時に、通路の端に寄りつつ、わざとらしく咳払いで返すことで、自分の境界線を示したのです。

すると女性は「怖いよね」と言い残して去っていきました。 この言葉を聞いた瞬間、ミカさんは気づきました。 相手は、自分の行為にうっすらと罪悪感を覚えたからこそ、「私(ミカさん)が怖い」という形にすり替えて責任を転嫁したのだと。 つまり、「怖い」と言われたことはミカさんの性格や行動ではなく、相手自身の心理の投影だったのです。

振り返ると、学生の頃からミカさんは「怖いよね」とわざわざ聞こえるように言われることが多くありました。 そのたびに「自分が内向的でにこやかな顔じゃないからだ」と思い込み、ヘラヘラ笑って取り繕ってきたのです。 しかし今回の出来事で、わざわざ聞こえるように言ってくる相手の発言は、自分に原因があったのではなく、相手自身のモヤモヤや責任転嫁だったことを理解することができました。

そして何より大きな収穫は、その場で瞬時に「失礼だな」と感じ、やり返す(相手に境界線を示す行動)ことで自分の尊厳を守れたことです。 罪悪感もモヤモヤもなく、ただ、大切に扱われるべき自分を守れた誇りだけが残った。 これは、過去の彼女ではできなかったことであり、ミカさん自身の成長の証です。

この成果は、一朝一夕に得られたものではありません。ミカさんが長期間にわたって「心の筋肉」を鍛えてきた結果です。

心の筋肉を鍛えることの重要性

もちろん、いきなり「自分の尊厳を守るために反撃(相手に境界線を示す行動)しなさい」と言われても、優しい人にはハードルが高すぎますよね。そこで、まずは「自分を守っていいんだ」という認識から始め、罪悪感なく境界線を引ける心の準備が必要なのです。

現実的な自己防衛の段階】

  1. 相手の行為を「失礼だ」と認識できる力(ここが一番自分軸が試されるところ)
  2. 「我慢する必要はない」と思える力
  3. 実際に行動に移せる力
  4. 罪悪感を感じずに自分を守り誇れる自尊心

ミカさんはこの全段階をクリアされていたからこそ、瞬時に適切な対応ができ、「誇りだけが残った」のです。心の筋肉が十分に鍛えられていなければ、行動できなかったか、行動しても後悔や罪悪感に苛まれていたでしょう。

優しい人が陥りがちな「同じレベル論」の落とし穴

ここまで読んでいただいて、モヤモヤされた方や不快感を覚えた方もいるかもしれません。

このような境界線を守る行動について、よく「反撃(相手に境界線を示す行動)なんて、相手と同じレベルに成り下がることだ」という批判を受けることがあります。しかし、この「同じレベル論」には大きな問題があります。

「同じレベル論」が優しい人を苦しめる理由

①フェアではない前提条件
「同じレベル論」は、両者が対等な立場・思考にあることを前提としています。しかし実際には、最初から「やり返す」という発想自体がない優しい人と、配慮なく振る舞う尊大な人との間には、根本的な格差があります。

②一方的な我慢の強要   
この理論は「反撃できる人が『やらないと選択する』」ことを前提としています。しかし、他人をやり込めるという発想そのものを持たない優しい人にとって、これは単なる一方的な我慢の強要でしかありません。

③尊大な人だけが得をする構造
結果として、配慮のない人だけが一方的に得をし、優しい人は理不尽な扱いを受け続けることになります。これは真の意味でのフェアネスとは程遠い状況ではないでしょうか。

自己防衛は「成り下がり」ではない

ミカさんの行動は「同じレベルに成り下がった」のではなく、自分の尊厳を守るための正当な自己防衛でした。配慮のない相手に対して、その行為がどのような気持ちを相手に与えるかを体感させることで、対等な立場で応答したのです。

相手の「怖いよね」という捨て台詞も、まさに自分の行為を相手にやり返されて不快だったことの証拠であり、それでも反省せずに責任転嫁するその女性の性質を露呈しています。

ミカさんとのこの話の中で「もし、この「咳払いで人をどかす」行為が、本人が本当に正当な行為だと思っていたら、どうかな?」とその相手の立場になって二人で想像してみました。
するとミカさんは「よし、どいたな!くらいなもんですよ(笑) やり返された咳払いにひるんで捨て台詞なんて吐かないですね(笑)」

私:「そうだよね、王族のようにその場を去って終りだよね、本当に自分が「私はわざわざ下々のものに「すみません、通りますので道を開けてください」なんて言う必要はないのだ!咳払い一つで下々のものは動くのだ!って信じてたらね(笑)」と二人で大笑いしました。

クライアントさんの気づき

・相手の言葉に惑わされず、自分の尊厳を守れる自分がいる
・「怖いよね」という言葉の正体は、相手の投影や責任転嫁
・過去の自分なら自責していたところを、この体験を誇っている自分がいる
・境界線を示すことで、自分を守る力を実感できる
「同じレベル論」に惑わされず、自己防衛の権利を認められる自分がいる

クライアントさんはこの体験を「境界線を示し、自分の尊厳を守れた日」として、自分の心の成長の証として心に刻んでいます。優しい人こそ、時には自分を守るために相手と同じ土俵に立つ権利があり、それは決して恥ずべきことではないのです。

【とはいっても状況的に難しい場合】

場面によっては“黙って距離を取る”のも自分を守る行動のひとつですし、安全性や関係性を考えて、行動に出るかどうかは人それぞれで大丈夫。その基準もまた“自分の感覚”で決めていいのです。

さいごに

「反撃(相手に境界線を示す行動)」「やり返す」・・・
不穏な言葉がところどころ出てきましたが、これはあくまでも、「他人をやり込めようという発想がない、自責思考の優しい人」へ「あなたは自分の尊厳を守る権利がありますよ」「それをすることで自分自身に信頼感が戻ってきますよ」「尊大な態度をする人に一方的にモヤモヤさせられる必要はないのですよ」「自分を守ってあげられる自分と仲良くなれますよ」という記事です。

そもそも「そんな行動したくもない」とか「じゃあ足踏まれたら、踏み返せばいいんですね」という野暮な反論はなしでお願いします。聡明なみなさんはわかっていただけていると思います。

この話はクライアントさんとの軽い近況報告から始まりました。
ミカさんが初めて私の所に来てくれたときは、一言話すだけで長年抑え込んできた感情があふれ出し、セッション中ずっと涙を流していたのが印象的でした。

それが今では、「こっちも咳払いしてやりましたよ!(笑)」と目を輝かせながら報告してくださり、その姿に心の筋肉ついて成長されたな…という感慨深い思いと、私自身も大きな気づきを得ました。実は私も長年「同じレベル論」にモヤモヤを感じており、それは優しい人を縛りつけ、首を絞めてしまう概念ではないかと考えていたのです。

しかし、ミカさんの体験を通して、今回その答えがはっきりと見えました。
クライアントさんとのこうしたやり取りは、私にとっても新たな気づきを与えてくれる大切な時間であり、一緒に成長していける貴重な瞬間だとあらためて実感しました。

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さて、最後まで読んでくださったあなたに質問です。

あなたは「たかが咳払いされたくらいで」と思いましたか?

でもミカさんは「咳払いで人に指示するのは失礼だ」という彼女の基準に従って行動しました。みなさん、それぞれの基準があります。それでいいのですよ。他人に自分の行動が正しいか正しくないか承認を求める必要はありません。(それが苦しみの元の一つなんですが、それはまた別のお話)

それが「自分軸」なんですから。

◆心の筋肉をつけたい方はお気軽にご相談くださいね。

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